柔道では、「落ちる」という言葉を聞きますが、とても危険な状態のようなイメージがあります。
にもかかわらず、落ちると気持ちいいといったちょっと信じられない言葉も耳にします。
実際には柔道で死亡事故というのも聞きませんし、本当のところ柔道で落ちるという言葉の意味が何なのか気になります。
そこで今回は、柔道で落ちるとはどういう意味なのか、また落ちると気持ちいいというのは本当なのかなどを見ていきたいと思います。
柔道で落ちるとは?
柔道で落ちるとは、絞め技で失神することをいいます。
同じ意識を失う状態でも頚動脈洞を圧迫されて失神した場合は技を解けば数分で意識は戻るのが普通ですが、気管を圧迫されて失神した場合は命にかかわるという違いがあります。
柔道で落ちるというのは、人間の体は頚動脈を圧迫された時、生命を維持するために脳に送る酸素の量を減らし酸欠状態となります。
落ちた状態では脳の活動は停止していますが呼吸など生命を維持する活動は続いており、イメージとしては眠っている状態に近いといえます。
これを頚動脈洞反射といい、脳の活動を一時的にストップすることによって少ない血圧や心拍数でも生命を維持しようとする人体の防御反応のひとつであるといえます。
しかし、技を解かずにそのまま絞め続けると、脳への血流が止まり死に至る危険性があります。
柔道で落ちると気持ちいい?
では、柔道で落ちる時の感覚というのはどんな感じなのでしょうか?
落ちると痛いか、あるいは苦しいようなイメージがありすが、一方で落ちると気持ちいいということも耳にします。
実際に落ちた経験のある方の声をまとめると、中には気持ちいいという方もいらっしゃいました。
しかし、人によって落ちる時の感覚はさまざまで必ずしも気持ちいいというわけでもないようです。
ただ、痛いとか苦しいという感覚の方は少ないようです。
落ちるまでの順番としては、
①頭がボーっとしてくる
②体が痺れてくる
③意識がなくなる
といった具合です。
脳が酸欠状態になって意識がなくなるので総じてあまり苦痛は感じないようで、視界が徐々に暗くなって眠りに吸い込まれるような状態のようです。
筆者は小学生の頃、脳震とうで意識を失った経験があり同じようにスーッと眠るように倒れていったという経験がありますが、感覚としては似ているのかもしれません。
柔道で落ちる技には何がある?
最後に柔道で落ちる技には、どんな技があるでしょうか?
もちろん投げ技でないことぐらいはわかりますが、柔道で落ちる技ということになるとちょっとした表現の違いがあります。
柔道で落ちる技は、「締め技」ではなく「絞め技」になります。
「締め技」と表現した場合は、首以外の部分を締め上げることを意味するので、落ちるということにはなりません。
柔道における「絞め技」は、道着や帯を利用したりしながら頚動脈を強く絞めて脳を酸欠状態にして気絶させます。
現在、認められている柔道の代表的な絞め技には以下のような技がありますが、どの技も決まってしまえば大変強力な威力を持っています。
・並十字絞
・逆十字絞
・片十字絞
・裸絞
・送襟絞
・片羽絞
・袖車絞
・片手絞
・両手絞
・突込絞
・三角絞
聞き慣れない技の名前も多いかと思いますが、この中で最も有名なのが「裸絞」でしょう。
プロレスでいうスリーパーホールドで、道着や帯も使わず相手の背後から首に腕を回し二の腕で締め上げるシンプルな技ですが決まってしまえば脱出は困難で落ちるのも早いです。
「三角絞」は総合格闘技でもよく見られる技で、マウントを取られた下側の選手が相手の腕を自分の足の間に入れて引き寄せて両足で相手の首を挟んで首を絞めるというものです。
「裸絞」の速攻に対し、「三角絞」はじっくり時間をかけてと落とす技といえます。
これらの技が決まって危険な場合は選手がタップして合図を出しますが、もし失神してしまうようなことがあればすぐに審判が試合を止めます。
柔道で落ちる技~禁止技
相手を失神させる絞め技は、一歩間違えると致命的な事故にも繋がりかねない危険な技でもあります。
まず、年齢にかかわらず禁止されている絞め技としては「胴絞」があります。
理由は、パワーがある選手が胴絞をすると内臓破裂の危険性があるためです。
また、中学生以下は三角絞は禁止技で、使用したら反則負けとなっています。
柔道で落ちる~まとめ
今回は、柔道で落ちるとはどういう意味なのか、また落ちると気持ちいいというのは本当なのかなど見てきました。
柔道で落ちるとは絞め技で失神することを意味し、通常、技を解けば数分で意識は戻ります。
また、柔道で落ちると気持ちいいかどうかは人によりけりですが、苦痛を感じる方は少ないようです。
柔道で落ちる技には「裸絞」「三角絞」などが有名ですが、「胴絞」は禁止技となっています。
いくら数分で意識が戻るとはいえ、あまり経験したくはない現象です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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