過去には世界記録も生まれたほどのレベルの高い大会として知られるのが、福岡国際マラソンです。
参加資格は、AグループとBグループに分かれていますが、どちらもハイレベルな上にその変遷を見ると制限時間が年々厳しくなっています。
エリートランナーはともかく、これでは一般の市民ランナーの出場が減ってしまうのではないかと思うほどです。
今回は、福岡国際マラソンの参加資格の変遷と制限時間の変更で市民ランナーの出場はどうなるのか、さらに優勝賞金と歴代優勝者についても見ていきたいと思います。
福岡国際マラソンの参加資格
2020・2021年の福岡国際マラソンは、新型コロナウイルスの影響により例年より規模を縮小して参加人数をおおよそ100人程度となりました。
ちなみに2019年大会は出場選手は約500名でしたから、2020・2021年大会は約1/5ほどに減ったわけです。
そのため2020・2021・2022年は参加資格も例年とはかなり異なる暫定的な参加資格と考えられるので、2019年の参加資格が通常の福岡国際マラソンの参加資格と考えられます。
そして2023年時点の参加資格も2019年と同じとなっています。
参加資格は、平和台陸上競技場をスタートとするAグループと隣接する大濠公園をスタートするBグループに分けられます。
2019・2023年の福岡国際マラソンの参加資格は、日本陸上競技連盟登記登録男子競技者で、連盟公認の大会で下記の標準記録をマークした大会当日満19歳以上の者となります。
2019・2023年の福岡国際マラソンの参加資格
Aグループ
マラソン:2時間27分
30kmロードレース:1時間35分
ハーフマラソン:1時間05分
※以上のほか日本陸上競技連盟が特に推薦する者
Bグループ
マラソン:2時間35分
30kmロードレース:1時間50分(2024年・1時間50分)
ハーフマラソン:1時間10分
一方、2020・2021・2022年の福岡国際マラソンの参加資格は、日本陸上競技連盟登記登録男子競技者で、連盟公認の大会で下記の標準記録をマークした大会当日満19歳以上の者となります。
2020年の福岡国際マラソンの参加資格
・マラソン:2時間25分以内(申込者の上位80名まで)
・ハーフマラソン:1時間04分以内(申込者の上位10名まで)
2021・2022年の福岡国際マラソンの参加資格
・マラソン:2時間24分以内(申込者の上位110名まで)
・ハーフマラソン:1時間04分以内(申込者の上位5名まで)
2020・2021・2022年大会は、全選手が平和台陸上競技場スタートとなり、制限時間は2019年大会よりさらに厳しくなっています。
福岡国際マラソンの参加資格の変遷
福岡国際マラソンの出場資格は非常に厳しく、2003年の第57回大会では、2時間27分以内と国内で最も厳しい参加資格でした。
特に市民ランナーにとっては、当時の参加資格は非常にハードルの高いものでした。
それが大きく変わったのが2004年の58回大会で、平和台陸上競技場をスタートとするAグループに加えて、隣接する大濠公園をスタートするBグループが新設されました。
参加資格は、Aグループは従来通り(当時)の2時間27分以内でしたが、Bグループの参加資格は2時間50分以内に設定されました。
これによって一気に出場者(市民ランナー)が増えて、それまで100人前後だった出場者(市民ランナー)は500人を突破することになりました。
しかし、制限時間は徐々に厳しくなり、2010年以降はだいたい3年に1回のペースで引き上げられて、2019年には2時間35分以内となっています。
制限時間はこの15年で15分短縮されたことになります。
福岡国際マラソンの参加資格の変遷は、以下の通りです。
福岡国際マラソンの参加資格の変遷
2016~2019・2023・2024年 2時間35分
2013~2015年 2時間40分
2010~2012年 2時間42分
2005~2009年 2時間45分
2004年 2時間50分以内
2003年 2時間27分以内(Bグループなし)
福岡国際マラソンの参加資格~制限時間で市民ランナー出場減?
上述したように福岡国際マラソンの出場資格は、2004年に大きく門戸が広げられたのはよかったのですが、翌年からどんどん制限時間が厳しくなっていきます。
これでは出場のハードルが高くなりすぎて市民ランナーの参加者が減ってしまうのではないかと思われるのですが、そうでもありません。
マラソン人気もあってか市民ランナーのレベルがどんどん上がっているからです。
実際に、毎年100人前後の市民ランナーが2時間30分以内でゴールしていますし、2時間40分以内となると300~400人ほどで、その数は年々増加傾向にあります。
それまでの出場資格だと参加者が多くなりすぎてしまうので、このように年々、出場資格が厳しくなっているともいえます。
将来的にはさらに制限時間が2時間30分以内になることも考えられます。
福岡国際マラソンの優勝賞金
かつてはマラソン大会には賞金は支給されていませんでしたが、海外の主要なマラソン大会では徐々に賞金レース化が進んできました。
日本国内においても男子は東京マラソン、福岡国際マラソン(2021年で終了)、びわ湖毎日マラソン(2021年で終了)、女子は東京国際女子マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋国際女子マラソン(現在の名古屋ウィメンズマラソン)の6大会から賞金が支給されるようになりました。
福岡国際マラソンの2021年の賞金は、賞金総額は2,000万円、優勝賞金は600万円です。
福岡国際マラソンの賞金(2021年)
賞金総額:2,000万円
優勝賞金:600万円
2位:300万円
3位:100万円
※賞金は男子女子共通です。
福岡国際マラソンの歴代優勝者と大会記録など
最後に、福岡国際マラソンの歴代優勝者と大会記録などを見ていきましょう。
歴代優勝者はかつては日本人選手と欧米選手がしのぎを削っていましたが、徐々にアフリカ勢が台頭し2006年の第60回大会から2016年の第70回大会までは11連覇と抜群の強さを見せています。
最多優勝記録は瀬古利彦選手とフランク・ショーター選手(アメリカ)の4回、さらにフランク・ショーター選手は最多連覇記録となる4連覇(1971~1974年)も達成しています。
大会記録は2024年の第78回大会に吉田祐也選手が記録した2時間05分16秒です。
福岡国際マラソンの歴代優勝者と記録(タイム)は、以下の通りです。
福岡国際マラソンの歴代優勝者と記録(タイム)
2024年(第78回)吉田祐也 2時間05分16秒
2023年(第77回)マイケル・ギザエ(ケニア)2時間07分08秒
2022年(第76回)マル・テフェリ(イスラエル)2時間06分43秒
2021年(第75回)マイケル・ギザエ(ケニア)2時間07分51秒
2020年(第74回)吉田祐也 2時間07分05秒
2019年(第73回)藤本拓 2時間09分36秒
2018年(第72回)服部勇馬 2時間07分27秒
2017年(第71回)ソンドレノールスタッド・モーエン(ノルウェー)2時間05分48秒
2016年(第70回)イエマネ・ツェガエ(エチオピア)2時間08分48秒
2015年(第69回)パトリック・マカウ(ケニア)2時間08分18秒
2014年(第68回)パトリック・マカウ(ケニア)2時間08分22秒
2013年(第67回)マーティン・マサシ(ケニア)2時間07分16秒
2012年(第66回)ジョセフ・ギタウ(ケニア)2時間06分58秒
2011年(第65回)ジョセファト・ダビリ(ケニア)2時間07分37秒
2010年(第64回)ジャウアド・ガリブ(モロッコ)2時間08分24秒
2009年(第63回)ツェガエ・ケベデ(エチオピア)2時間05分18秒
2008年(第62回)ツェガエ・ケベデ(エチオピア)2時間06分10秒
2007年(第61回)サムエル・ワンジル(ケニア)2時間06分39秒
2006年(第60回)ハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)2時間06分52秒
2005年(第59回)ドミトロ・バラノフスキー(ウクライナ)2時間08分29秒
2004年(第58回)尾方剛 2時間09分10秒
2003年(第57回)国近友昭 2時間07分52秒
2002年(第56回)ゲザハン・アベラ(エチオピア)2時間09分13秒
2001年(第55回)ゲザハン・アベラ(エチオピア)2時間09分25秒
2000年(第54回)藤田敦史 2時間06分51秒
1999年(第53回)ゲザハン・アベラ(エチオピア)2時間07分54秒
1998年(第52回)ジャクソン・カビガ(ケニア)2時間08分42秒
1997年(第51回)ジョサイア・チュグワネ(南アフリカ)2時間07分28秒
1996年(第50回)李鳳柱(韓国)2時間10分48秒
1995年(第49回)ルイス・アントニオ・ドスサントス(ブラジル)2時間09分30秒
1994年(第48回)ボアイ・アコナイ(タンザニア)2時間09分45秒
1993年(第47回)ディオニシオ・セロン(メキシコ)2時間08分51秒
1992年(第46回)テナ・ネゲレ(エチオピア)2時間09分04秒
1991年(第45回)森田修一 2時間10分58秒
1990年(第44回)ベライン・デンシモ(エチオピア)2時間11分35秒
1989年(第43回)マヌエル・マティアス(ポルトガル)2時間12分54秒
1988年(第42回)渋谷俊浩 2時間11分04秒
1987年(第41回)中山竹通 2時間08分18秒
1986年(第40回)ジュマ・イカンガー(タンザニア)2時間10分06秒
1985年(第39回)新宅雅也 2時間09分51秒
1984年(第38回)中山竹通 2時間10分00秒
1983年(第37回)瀬古利彦 2時間08分52秒
1982年(第36回)ポール・バリンジャー(ニュージーランド)2時間10分15秒
1981年(第35回)ロバート・ド・キャステラ(オーストラリア)2時間08分18秒
1980年(第34回)瀬古利彦 2時間09分45秒
1979年(第33回)瀬古利彦 2時間10分35秒
1978年(第32回)瀬古利彦 2時間10分21秒
1977年(第31回)ウイリアム・ロジャース(アメリカ)2時間10分55秒
1976年(第30回)ジェロム・ドレイトン(カナダ)2時間12分35秒
1975年(第29回)ジェロム・ドレイトン(カナダ)2時間10分08秒
1974年(第28回)フランク・ショーター(アメリカ)2時間11分31秒
1973年(第27回)フランク・ショーター(アメリカ)2時間11分45秒
1972年(第26回)フランク・ショーター(アメリカ)2時間10分30秒
1971年(第25回)フランク・ショーター(アメリカ)2時間12分50秒
1970年(第24回)宇佐美彰朗 2時間10分37秒
1969年(第23回)ジェロム・ドレイトン(カナダ)2時間11分12秒8
1968年(第22回)ビル・アドコックス(イギリス)2時間10分47秒
1967年(第21回)デレク・クレイトン(オーストラリア)2時間09分36秒
1966年(第20回)マイク・ライアン(ニュージーランド)2時間14分04秒
1965年(第19回)広島日出国 2時間18分35秒
1964年(第18回)寺沢徹 2時間14分48秒
1963年(第17回)ジェフリー・ジュリアン(ニュージーランド)2時間18分00秒
1962年(第16回)寺沢徹 2時間16分18秒
1961年(第15回)パベル・カントレク(チェコ)2時間22分05秒
1960年(第14回)バリー・マギー(ニュージーランド)2時間19分04秒
1959年(第13回)広島庫夫 2時間29分34秒
1958年(第12回)貞永信義 2時間24分01秒
1957年(第11回)広島庫夫 2時間21分40秒
1956年(第10回)山田敬蔵 2時間25分15秒
1955年(第9回)ヴェイッコ・カルボネン(フィンランド)2時間23分16秒
1954年(第8回)レイナルド・ゴルノ(アルゼンチン)2時間24分55秒
1953年(第7回)浜村秀雄 2時間27分26秒
1952年(第6回)西田勝雄 2時間27分59秒
1951年(第5回)拝郷弘美 2時間30分13秒
1950年(第4回)小柳舜治 2時間30分47秒
1949年(第3回)古賀新三 2時間40分26秒
1948年(第2回)山田三郎 2時間37分25秒
1947年(第1回)和田敏一 2時間45分45秒
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福岡国際マラソンの参加資格の変遷~まとめ
今回は、福岡国際マラソンの参加資格の変遷と制限時間の変更で市民ランナーの出場はどうなるのか、さらに優勝賞金と歴代優勝者についても見てきました。
福岡国際マラソンの参加資格の変遷を見ると、市民ランナーのレベルが上がっていることもあって年々厳しくなっており、2019年にはAグループ2時間27分、Bグループ2時間35分となっています。
制限時間の短縮で市民ランナーの参加者が減るのかというと、レベルが上がっているため実際には減っていません。
2020・2021年には新型コロナウイルスの影響で、参加資格をさらに厳しくし参加人数を約1/5程度に減らしての開催となりました。
賞金は賞金総額は2,000万円、優勝賞金は600万円で、歴代優勝者の中で最多優勝記録は瀬古利彦選手とフランク・ショーター選手(アメリカ)の4回、大会記録は吉田祐也選手が記録した2時間05分16秒(2024年)です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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