車椅子ラグビーは四肢に障害のある選手が車椅子で競技する障害者スポーツのひとつで、車椅子同士が激しくぶつかり合う障害者とは思えない大変迫力のある競技です。
海外ではマーダーボール(殺人球技)とも呼ばれるほどの激しさが特徴でパラリンピックではすでに公式競技として採用されていますが、その歴史はいつから始まったのでしょうか?
また、人数や試合時間など、一般のラグビーとのルールの違いはどうなっているのでしょうか?
今回は、車椅子ラグビーの歴史と人数や試合時間などに違いが見られるルールなどについて見ていきます。
車椅子ラグビーの歴史
車椅子ラグビーの歴史は、1977年にカナダから始まりました。
四肢に障害を持つ人がプレーできるスポーツとして、ラグビー、バスケットボール、バレーボール、アイスホッケーなどの要素を採り入れてカナダ・ウィニペグ市で考案されました。
その後、1981年にアメリカで車椅子ラグビーのチームが作られると、1982年に初めての国際大会がアメリカとカナダによって行われました。
1980年代にさまざまな地域に普及し、1989年にはカナダのトロント市で国際トーナメントが開かれ、現在では40か国以上で車椅子ラグビーが行われています。
パラリンピックの競技としては、1996年のアトランタパラリンピックでデモンストレーション競技として初めて実施されると、2000年のシドニーパラリンピックからは公式競技として採用されました。
日本では1997年4月に日本車椅子ラグビー連盟が設立され、1999年には第1回日本選手権大会が開催され、徐々に国内でも普及していきました。
日本代表は2004年のアテネパラリンピックで初めてパラリンピックに出場して以来連続出場しており、2012年のロンドンパラリンピックでは4位、2016年のリオパラリンピックでついに銅メダルを獲得しました。
車椅子ラグビーのルール
続いて、車椅子ラグビーのルールを見ていきましょう。
まず、ユニークなのが男女混合で行われることと、試合会場はグラウンドではなくバスケットボールのコートで行います。(コートはバスケットボールと同じ広さ)
車椅子ラグビーはボールを持った選手の車椅子がトライラインを超えると得点となり、ペナルティゴールやコンバージョンゴールなどのキックによる得点はありません。
車椅子競技で唯一タックルが認められていますが、手や腕でボール以外の相手選手や車椅子に触れたり転倒させるとファウルとなります。
その他にも車椅子ラグビーのルールには、以下のような特徴があります。
・10秒以内にボールをエンドラインからパスし、受け取ってから12秒以内でハーフラインを超え、40秒以内にトライする。
・ボールを持っている選手は何度でも車いすを漕ぐことができますが、10秒以内に1回ドリブルをするか、味方にパスをしなければなりません。
反則の場合は、ターンオーバーとなってボールの所有権が相手チームに移り、サイドライン、またはコーナーからのインバウンド(パス)となります。
車椅子ラグビーのルール~人数や試合時間などに違い
車椅子ラグビーと一般のラグビーのルールには人数や試合時間などに大きな違いがあります。
人数はコート上は4名で一般のラグビーと比較すると非常に少なく、控え選手は最大で8名、交代は自由に行えるというルールになっています。
試合時間も1ピリオド8分×4ピリオド=32分と短く、第1ピリオドと第3ピリオド終了後に2分間、第2ピリオド終了後には5分間のインターバルがあります。
ボールは一般のラグビーのような楕円形ではなく、バレーボールの5号球サイズの球形の公式専用球が用いられます。
また、前にボールをパスできるというのも一般のラグビーとの大きな違いで、一度敵陣に入ったら自陣に戻れないというのも特徴です。
車椅子ラグビーの持ち点
車椅子ラグビーは車椅子バスケ同様、持ち点制が採用されています。
持ち点制とは障害のレベルに応じて、選手は0.5点(重い)~3.5点(軽い)と7つの持ち点が設定されており、コート上の4名の選手の持ち点の合計8.0以内になるようにしなければいけません。
持ち点制によって障害の重い選手も軽い選手も等しく出場機会が得られるようになるという仕組みです。
また車椅子ラグビーは男女混合の競技であるため、出場する4名の選手の中に女子選手を入れた場合は0.5点の追加ポイントが許可され、この場合はチームの持ち点の合計が8.0点を超えることが許されます。
車椅子ラグビーの歴史とルール~まとめ
今回は、車椅子ラグビーの歴史と人数や試合時間などに違いが見られるルールなどについて見てきました。
車椅子ラグビーの歴史は1977年にカナダから始まり、パラリンピックの競技としては1996年のアトランタパラリンピックで初めて実施され、2000年のシドニーパラリンピックからは公式競技として採用されています。
車椅子ラグビーはバスケットボールのコートで行うなど車椅子バスケと共通する部分もあり、ルールは人数がコート上は4名の選手、試合時間が1ピリオド8分×4ピリオド=32分、ボールも楕円形ではなく球形であること、などが一般のラグビーとの違いです。
また、得点は車椅子がトライラインを超えた場合のみで、ペナルティゴールやコンバージョンゴールなどのキックによる得点はありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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