大相撲で大関昇進がかかった力士がいる場所では、「○勝すれば大関昇進」などという言葉が新聞などでよく目にします。
直前3場所の成績が大切なようですが、大関昇進の条件がイマイチよくわかりません。
そこで今回は、大相撲の大関昇進の条件は直前3場所の成績次第なのか、また大関昇進にまつわる記録や陥落・復帰条件などについても見ていきます。
大相撲の大関昇進の条件~直前3場所の成績次第?
現在、大相撲における大関昇進の条件は「直前3場所が三役(関脇・小結)の地位で、通算の勝ち星が33勝以上の成績」といわれています。
しかし、実際にはこの成績を満たしていても大関昇進が見送られたケースもあり、逆に33勝に満たなくても昇進を果たしたケースもあります。
大関昇進についての明確な基準は特になく、相撲協会では勝ち星以外にも相撲内容や番付のバランスなどを考慮して大関昇進を決定しています。
とはいえ、勝ち星はやはり重要で、昇進直前の場所が8勝、9勝の一桁の勝ち星で昇進した例はなく、昇進直前の場所は最低でも二桁10勝が必要であると考えられています。
ちなみに、1950年以降に誕生した大関の直前3場所の勝ち星の平均を見てみると「33.1勝」であり、こういった成績も「三役で3場所33勝」が大関昇進の条件といわれる由縁になったのかもしれません。
大相撲の大関昇進
続いて、大相撲の大関昇進に関する記録を見ていきましょう。
大関昇進の明確な基準がはっきりしていないために、過去には賛否両論を呼ぶさまざまな記録が生まれ、力士にとっては悲喜こもごもといえる事態が発生していました。
なお、記録は1場所15日制が定着した昭和24年5月以降に昇進した大関のものです。
大相撲の大関昇進~直前3場所勝ち星28勝が最少記録
大相撲の大関昇進では、直前3場所の勝ち星28勝が最少記録で、これまで4人います。
目安といわれる33勝とは程遠いですが、大関が1人しかいないという番付上の事情がからんでいることもあったようです。
鏡里
28勝(9勝・8勝・11勝)
1951年(昭和26年)5月場所(新大関)
若乃花
28勝(10勝・8勝・10勝)
1956年(昭和31年)1月場所(新大関)
北葉山
28勝(8勝・9勝・11勝)
1961年(昭和36年)7月場所(新大関)
北の富士
28勝(8勝・10勝・10勝)
1966年(昭和41年)9月場所(新大関)
大相撲の大関昇進~直前3場所勝ち星37勝が最高記録
逆に、直前3場所の勝ち星37勝が最高記録で、これまで3人います。
目安といわれる33勝はもちろん、
豊山
37勝(12勝・12勝・13勝)
1963年(昭和38年)3月場所(新大関)
北天佑
37勝(11勝・12勝・14勝)
1983年(昭和58年)7月場所(新大関)
若ノ花
37勝(14勝・10勝・13勝)
1993年(平成5年)9月場所(新大関)
大相撲の大関昇進~最年少記録
大相撲で最年少記録といえば、貴ノ花です。
大関昇進は20歳5か月の若さでしたが、これだけでなく幕下優勝、十両昇進、幕内昇進、幕内初優勝、年間最多勝、全勝優勝など最年少記録を次々と更新していきました。
唯一の心残りは最年少横綱昇進記録を更新できなかったことでしょうか。
貴ノ花
20歳5か月:35勝(14勝・10勝・11勝)
1993年(平成5年)3月場所(新大関)
大相撲の大関昇進~過去の見送りの例
大関昇進の一応の目安でもある「三役で3場所33勝」の成績をあげたにもかかわらず、昇進を見送られた力士は、以下の5人の力士で計6回です。
特に雅山は2場所連続で成績ではクリアしていただけに無念過ぎる見送りでした。
しかし、以下のすべての力士は、その後見事に大関昇進を決めています。
琴ヶ濱
33勝(12勝・11勝・10勝)
昭和32年11月場所(見送り場所)
琴光喜
34勝(13勝・9勝・12勝)
2002年(平成14年)1月場所(見送り場所)
雅山
34勝(10勝・14勝・10勝)
2006年(平成18年)7月場所(見送り場所)
雅山
33勝(14勝・10勝・9勝)
2006年(平成18年)9月場所(見送り場所)
把瑠都
33勝(12勝・9勝・12勝)
2006年(平成22年)1月場所(見送り場所)
貴景勝
33勝(9勝・13勝・11勝)
2019年(平成31年)1月場所(見送り場所)
※赤字は優勝
大相撲の大関陥落と復帰の条件
最後に、大相撲の大関陥落と復帰の条件について見ていきましょう。
せっかくいい成績をあげて大関昇進を果たしても成績が伴わなかったり、休場のの程度によっては陥落してしまいます。
また、復帰に関しても大関ならではの条件が設けられています。
現在の規定では、2場所連続負け越しで関脇に陥落となり休場も負け越しの扱いとなります。
例えば、2場所連続負け越しは当然として、2場所連続休場、休場→負け越し、負け越し→休場の場合も大関陥落となります。
一方、大関復帰の条件は、直後の場所で取り組み日数の3分の2以上の勝ち星(10勝以上)をあげた場合に特例で復帰できるという規定になっています。
大関昇進の条件と違って、大関陥落と復帰の条件は曖昧な部分がなく、ともにはっきりと成績で決まるのでとてもスッキリした印象を受けます。
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大相撲で大関特例復帰を果たした力士
大関から陥落し、転落直後の場所で10勝以上をあげて大関に復帰した力士は、これまで6人しかいません。
栃東の2回の大関復帰も凄い記録だと思いますが、三重ノ海は大関転落力士としてはで唯一、横綱まで昇進しています。
大相撲で大関特例復帰を果たした力士は、以下の6人の力士で計7回です。
大相撲で大関特例復帰を果たした力士
三重ノ海
10勝5敗
1976年(昭和51年)7月場所
貴ノ浪
10勝5敗
2000年(平成12年)1月場所
武双山
10勝5敗
2000年(平成12年)9月場所
栃東
10勝5敗
2004年(平成16年)7月場所
栃東
11勝4敗
2005年(平成17年)1月場所
栃ノ心
10勝5敗
2019年(令和元年)5月場所
貴景勝
12勝3敗
2019年(令和元年)9月場所
※記録はすべて、2023年1月17日時点のものです。
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大相撲の大関昇進の条件~まとめ
今回は、大相撲の大関昇進の条件は直前3場所の成績次第なのか、また大関昇進にまつわる記録や陥落・復帰条件などについて見てきました。
直前3場所の通算の勝ち星が33勝以上の成績は一応の目安とはなりますが、大関昇進についての明確な基準は特になく、勝ち星以外にも相撲内容や番付のバランスなどを考慮して決定されているのが現状です。
逆に大関陥落と復帰の条件ははっきりしており、2場所連続負け越し(休場含む)で関脇に陥落、陥落直後の場所で10勝以上の成績で復帰と規定されています。
個人的には大関昇進も条件をはっきり数値化したほうがスッキリするのではないかと思うのですが、はたしてどうでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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