大相撲の巴戦のやり方とは？勝敗の決め方をわかりやすく紹介

大相撲の巴戦（ともえせん）は、3人以上の力士が優勝を争う特別な決定戦であり、そのやり方には独自のルールと緊張感が存在します。巴戦は通常の一対一の取り組みとは異なり、順番や休憩時間の有無が勝敗を大きく左右することもあるため、不公平と感じられることもあります。また、4人や5人といった多人数による巴戦では、トーナメント形式が導入されるなど、ルールの複雑さも際立ちます。

今回は、大相撲の巴戦の基本的なやり方（ルール）や流れから確率、有利になる条件、さらにはその由来や最長記録まで、大相撲ファンなら知っておきたい情報を丁寧に解説していきます。

大相撲の巴戦のやり方とは？基本ルールと流れを解説

大相撲の中でも特に注目を集める取り組みのひとつが「巴戦（ともえせん）」です。通常の一対一の勝負とは違い、3人以上の力士が優勝をかけて競い合うこの形式には、独特のルールと緊張感が存在します。まずは、この巴戦とはどのようなものなのか、その基本的なルールと流れを詳しく見ていきましょう。

大相撲の巴戦とは？

大相撲において「巴戦（ともえせん）」とは、本割の結果、相星となった3人の力士が優勝をかけて対戦する特殊な形式の取り組みです。通常の一対一の勝負とは異なり、巴戦は複数の力士が同時に優勝候補となった場合に実施されるもので、非常に珍しく、ファンの間でも注目度が高い取り組みです。

この形式の最大の特徴は、3人が順番に取り組みを行い、いずれかが2連勝するまで勝負が続くという点です。勝者が次の対戦者とすぐに戦うという形式が取られるため、連戦となる力士には体力的な負担がかかります。一方で、敗者は次の一戦に備えて休憩できるという側面もあり、まさに戦略と運が入り混じった展開が魅力です。

巴戦という名の由来は、巴紋（ともえもん）という3つの勾玉が絡み合う文様から来ています。これが3人の力士が交互に戦う様子に似ていることから、このように呼ばれるようになりました。実際に巴戦が行われる場面はまれで、頻度はかなり少ないですが、その分だけそれぞれの巴戦には特別な緊張感と興奮が漂います。

通常の取り組みでは見られない戦いの構図、そして複雑な流れの中での勝利の行方は、まさに大相撲の奥深さを感じさせるものです。

巴戦のルール

巴戦には、通常の取り組みとは異なる特別なルールが設けられています。最も基本的なルールは「3人のうち、誰かが2連勝するまで取り組みを続ける」というものです。これにより、単なる1勝では勝利が確定せず、真の勝者が決まるまで何度でも巴戦は繰り返されます。

取り組みの順番は、あらかじめくじや抽選などで決められるのが通例です。最初の対戦は第1試合、次は勝者と残りの1人による第2試合、そしてさらにその勝者が最初に敗れた力士と戦う、という流れで続いていきます。この流れの中で、最初に2連勝した力士が優勝となります。

また、巴戦は公平性の維持が重要視されるため、同じ力士が極端に有利または不利にならないよう配慮されています。しかし、どうしても連戦になる力士と休憩が入る力士が出てくるため、状況によっては「運」や「体力差」が勝敗に大きく影響することもあります。

なお、3人巴戦を基本としつつも、稀に4人以上の巴戦が行われることもあります。その場合、トーナメント方式や変則ルールが導入されるなど、より複雑な形式になる傾向があります。

このように、巴戦のルールは独特かつ緻密に構成されており、観戦者にとっては一瞬たりとも目が離せない展開を楽しめる取り組みといえます。

順番の決め方

巴戦における「順番の決め方」は、勝敗の行方を左右するほど重要な要素です。というのも、最初に登場する2人の力士は連続で取り組みを行う可能性が高くなり、体力的な負担を背負うことになるからです。

一般的には、公平性を保つために「くじ引き」で順番が決定されます。これにより、力士の実力や番付にかかわらず、運によって最初の取り組みが決まるのが特徴です。これが、巴戦をよりドラマチックで予測不可能なものにしています。

順番が決まったあとは、以下のような流れで進みます。たとえばA、B、Cの3人が巴戦を行う場合、まずAとBが対戦します。その勝者が続いてCと戦い、さらにその勝者が次の取り組みへ…という形で、誰かが2連勝するまで取り組みが繰り返されます。したがって、早い段階で出場した力士は連戦の可能性があり、順番の影響が顕著に出る場面です。

このように、順番は単なる形式ではなく、勝敗を左右する戦略的な要素のひとつとなっているのです。

3人以上の場合

基本的に巴戦は3人によって行われる形式ですが、稀に「3人以上」の力士による巴戦が発生するケースも存在します。たとえば、4人が同点で千秋楽を終えた場合や、優勝決定戦に進むべき力士が複数人になった場合などです。

3人であれば、2連勝をした力士が勝者となるという比較的シンプルなルールが成り立ちますが、4人以上になると一気に複雑さが増します。そのため、4人巴戦では「トーナメント形式」が採用されることが多く、組み合わせやルールが柔軟に調整されるのが特徴です。

例えば、4人の場合にはまずA対B、C対Dという2つの対戦を行い、それぞれの勝者同士が戦い、最終的に1人の優勝者を決めるというような形式が採られることがあります。場合によっては、敗者復活戦のような方式を導入することもあります。

ただし、こうした多人数巴戦は非常に稀であり、大相撲の長い歴史の中でも数えるほどしか行われていません。それだけに、観戦者にとっては貴重であり、特別な熱気と緊張感が漂う取り組みとなるのです。

勝敗の決め方

大相撲における巴戦の「勝敗の決め方」は、通常の取り組みとは異なる独特のルールに基づいています。基本となるのは「2連勝した力士が勝者となる」というルールです。これは、たとえ1勝したとしても、次の取り組みで敗れればリセットされてしまうというシビアな構造です。

たとえば、力士A、B、Cの3人で巴戦を行う場合、まずAとBが対戦します。Aが勝ったとすると、次にA対Cが行われます。もしAがCにも勝利すれば、これで2連勝となり、Aが優勝となります。しかし、仮にAがCに敗れた場合、次はC対Bが行われ、さらに勝者と残りの1人で取り組みが続きます。このように、2連勝するまで無限に近いループが続く可能性もあるのです。

勝敗の基準は通常通り、「土俵の外に出た方」「先に倒れた方」が敗者となりますが、巴戦では精神的・肉体的プレッシャーがより大きく、力士の集中力と持久力が試されます。

また、巴戦中に“はたき込み”や“突き落とし”など技の選択も重要になります。なぜなら連戦となるとスタミナを温存しながら勝利を狙う戦略が求められるからです。このように、勝敗の決め方ひとつとっても、巴戦は通常の相撲とは一線を画す奥深い世界を持っています。

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大相撲の巴戦のやり方や見どころなど意外な一面

巴戦は単なる特殊な取り組みにとどまらず、大相撲の伝統やドラマが詰まった魅力的な勝負形式です。特に優勝決定戦としての側面や、力士にとって有利・不利となる条件、不公平と感じられる要素、さらには確率や勝率の観点など、意外と知られていない奥深さがあります。ここからは、そんな巴戦の見どころや意外な一面に迫っていきます。

優勝決定戦と巴戦の関係

大相撲の本場所では、15日間の取組の成績により優勝力士が決定します。しかし、千秋楽を終えて複数人が同じ勝ち星で並んだ場合、「優勝決定戦」が行われます。その中でも、3人以上が並んだ場合に適用される形式が「巴戦」です。

つまり、巴戦は「優勝決定戦の一形態」として位置づけられており、通常の取り組みでは見られない特別な対戦形式となります。これは、順位のつかない引き分けを許さない大相撲ならではの厳格な決まりごとのひとつであり、勝者が1人に絞られるまで決着をつけるという伝統的な理念に基づいています。

優勝決定戦が巴戦になるという展開は滅多に起こらないため、観客の期待も自然と高まります。千秋楽に相星で並ぶ力士たちによる巴戦は、後世に語り継がれることもしばしばあります。

実際の取り組みでは、巴戦のために緊急的に時間が設けられ、観客や視聴者も一体となってその行方を見守ります。優勝の行方が一手に委ねられた巴戦は、相撲という競技の奥深さと緊張感を象徴する舞台でもあるのです。

有利になる条件とは

巴戦は実力だけでなく、順番や展開によって「有利な条件」が大きく変わる取り組みです。中でも注目すべきは「取り組みの順番」と「休憩時間の有無」による体力的優位です。

例えば、最初の取り組みで勝利した力士は、続けて次の対戦者とすぐに戦うことになります。一方で、まだ取り組んでいない3人目の力士は、その間に息を整え、相手の動きも観察することができます。このため、3人目に登場する力士が有利になることが少なくありません。

また、「立ち合い（取り組み開始時）の鋭さ」も重要な条件です。巴戦では連戦がありうるため、早期決着を狙って速攻を仕掛ける戦術が功を奏しやすくなります。持久戦になればなるほど、消耗が激しく次の取り組みに影響を及ぼすためです。

もう一つの有利な要素は「精神的な強さ」です。巴戦は勝ち上がるまで何度も戦う可能性があるため、集中力や平常心を保ち続けられる力士が安定したパフォーマンスを発揮しやすくなります。

つまり、有利になるためには、順番、体力、戦略、そしてメンタルがすべて噛み合う必要があるのです。これこそが巴戦の奥深さであり、ファンの間で語り継がれる所以でもあります。

不公平とされる要素

巴戦は伝統的な形式でありながら、時に「不公平」との声が上がることもあります。その最大の理由は「連戦による体力差」に起因します。順番によっては、1人の力士が連続で取り組むことになり、十分な休憩が取れない状態で次の試合に臨まなければならないのです。

例えば、最初に勝った力士が次の取り組みにも即座に登場する形となった場合、体力的な消耗は避けられません。一方で、まだ試合をしていない力士は万全の状態で臨めるため、この差が勝敗に大きく影響します。

さらに、不公平と感じられるもう一つの要素は「抽選による順番決定」です。くじ引きによって試合の流れが決まるため、実力とは無関係に不利な順番を引いてしまうこともあります。これにより、「本来なら優勝できたはずの力士が不利な状況に追い込まれる」という展開もあり得ます。

制度上は全員に平等な条件が与えられているものの、実際には戦い方や順番によって微妙な不公平感が生まれるのが巴戦の難しさです。観戦者にとってはこれもまた醍醐味の一つかもしれませんが、力士にとっては一瞬の運が命運を分ける、非常に過酷な取り組みとも言えるでしょう。

確率と勝率の観点

巴戦における勝利の「確率」は、実力だけでは測れない複雑な要素が絡み合います。特に3人による巴戦では、勝率は単純な1/3ではなく、順番や連戦の有無、相性などが大きく関係してくるのです。

たとえば、仮に3人の力士が全員同じ実力だと仮定しても、最初の取り組みに出場する力士は、2連勝しなければならず、体力的に不利になります。一方、最後に登場する力士は、1勝すれば次の取り組みで勝機を得る可能性があるため、確率的には若干有利と考えられます。

また、連戦による疲労や心理的なプレッシャーも、確率を下げる要因となります。特に、1勝1敗で並んだ状態が続くと、精神面でも消耗が激しくなり、冷静な判断が難しくなる場面もあるでしょう。

実際のところ、巴戦での勝敗は「確率論」だけでは説明できないほど複雑であり、運・戦略・メンタルが交錯する予測不能な展開となります。この「確率の読めなさ」が、巴戦の最大の面白さとも言えるでしょう。

巴戦の由来と最長記録

「巴戦」という言葉の由来は、日本の伝統的な文様である「巴紋（ともえもん）」にあります。これは3つの勾玉が渦を巻くように絡み合った形をしており、3人の力士が入れ替わり立ち替わり戦う様子を象徴しています。大相撲の世界では、勝敗がつかない場合や3人以上が優勝争いに残った際にこの形式が用いられ、その名前にふさわしい動きが土俵上で展開されるのです。

歴史的にも巴戦は非常に珍しく、最多5人による優勝決定戦があります。1996年（平成8年）11月場所で行われた巴戦です。このときは11勝4敗で並んだ5人の力士がトーナメント戦を経て巴戦に突入し、緊張感と熱気に包まれた異例の優勝決定戦となりました（結果は当時大関・武蔵丸が優勝）。

最長記録として知られているのは1990年（平成2年）3月場所の巴戦が「4番」にまで及んだケースです。勝者がなかなか2連勝できず、繰り返し対戦が続いた結果、想定を超える長時間の取り組みとなったのです（結果は横綱・北勝海が優勝）。このような展開では、力士の体力・集中力の限界が試され、勝者はまさに“総合力”での勝利を手にしたと言えるでしょう。

由緒ある歴史と、稀にしか見られない特別な取り組みの巴戦は、単なる試合形式ではなく、大相撲の奥深さと魅力を象徴する重要な存在なのです。

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大相撲の巴戦のやり方とは？～まとめ

今回は、大相撲の巴戦の基本的なやり方（ルール）や流れから確率、有利になる条件、さらにはその由来や最長記録などを解説してきました。

ポイントをまとめると、以下のようになります。

巴戦は、勝負の世界における「運」と「実力」の絶妙なバランスが試される奥深い取り組みです。普段の相撲とは一味違った展開や戦略、力士たちの駆け引きが凝縮されており、その希少性も相まってファンにとっては見逃せない瞬間です。

今後もし巴戦が行われることがあれば、この記事の内容を思い出しながら、その緊迫感と駆け引きを存分に楽しんでみてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※記録は2025年11月21日時点のものです。